【好都合に未完成】サカナクション「怪獣」の歌詞の意味を解説!
サカナクションの「怪獣」って曲、めちゃくちゃかっこいいですよね。
アニメ「チ。地球の運動について」のテーマソングです。
僕は、アニメを見る前から「怪獣」ってかっけぇと思っていたのですが、アニメを見て度肝を抜かれました。
アニメの曲って、アニメのために歌詞が書かれたアニソンと、曲をプロモーションするためだけで、アニメと全然関係ない歌詞のものとがありますよね。
今回のサカナクションの「怪獣」は、歌詞の意味を知れば感動します。

天才と天才が共鳴した、完全なアニソンです。
このアニメ(チ。)のために、歌詞が書かれていることがわかります。
エンディング曲の「アポリア(ヨルシカ)」も、このアニメのために歌詞が書かれています。
なぜなら、歌詞を書きたくなるくらいアーティストを夢中にさせる作品だからです。
今回は、サカナクションの怪獣の歌詞の意味を紐解いていきます!!
サカナクション「怪獣」の歌詞の意味を解説!
美しい旋律に、素晴らしい歌詞の作品です。
歌詞の意味①怪獣の正体とは?
何度でも、何度でも、叫ぶ
この暗い夜の怪獣になっても
ここに残しておきたいんだよ
この秘密を
怪獣って何?ってなりますが、この怪獣の正体は「知的好奇心」のことです。
表現の自由、信仰の自由がある今ならなんのこっちゃってすが、知りたいという好奇心は、まるで怪獣のようにふくれあがっていくという意味です。

あと、メロディがめちゃくちゃカッコイイんですよね。
「この暗い夜の怪獣になっても」の部分が
「この暗いよ」「るの怪獣になっても」に分けられてるところが、トリッキーでカッコイイですよね。
歌詞の意味②赤と青の星は「光のドップラー効果」である!
だんだん食べる
赤と青の星々
未来から過去

赤と青の星々と言うのが、もう素晴らしいです。
これは、光のドップラー効果を表しています。
音のドップラー効果は有名ですよね。
救急車が近づいてくる時の音と、遠ざかる時の音が違う現象です。

ちなみに、僕は兄に「救急車は人が死んだら、音を変えるんだよ」と教えられ、毎回僕の前で人が死ぬと思い込んでしました。
さて、光にもドップラー効果があるのです。
観察者から見て遠ざかる光は赤く見えて(赤方偏移)、近づいてくる光は青く見えます(青方偏移)。

ちなみに、アニメ「チ。地球の運動について」には、ドップラー効果については触れられていません。
なのに、こんな学術的なことを歌詞に盛り込んでくるなんて、サカナクション素晴らしすぎます!!
歌詞の意味③何十螺旋は「遺伝子構造」
順々に食べる
何十回も噛み潰し
溶けたら飲もう
知識を得ることを、怪獣が食べることになぞらえて表現してますね。
ここからは、韻を踏んでいく音楽的な美しさがあります。
淡々と知る
知ればまた溢れ落ちる
昨日までの本当
順々と知る
何十螺旋の知恵の輪
解けるまで行こう
アニメのオープニングでは、尺の都合でここはカットされています。
ここで、「何十螺旋」という表現が山口一郎さんらしいですよね。
これは遺伝子の二重らせん構造が、いくえにも重なっているということですね。
まさに時代を超えていく「チ。地球の運動について」になぞらえていて素晴らしい歌詞ですね!

かっこいい!!
歌詞の意味④怪獣の叫びは山口一郎さんの叫びでもある!
丘の上で星を見ると感じるこの寂しさも
朝焼けで手が染まる頃にはもう忘れてるんだ
ここの歌詞の意味も、アニメでラファウとフベルトが星空を見るところから始まり、ドゥラカが朝焼けに手を染めるところまでの時系列が一致しますね。
この世界は好都合に未完成
だから知りたいんだ
でも、怪獣みたいに遠く遠く叫んでも
また消えてしまうんだ
ここの歌詞が、山口一郎さんの集大成ですよね。
アニメでは、「真理とは別に、未完成の方が人に都合がいい世界」が見事に歌詞にされてますね。
この「教会性」にとって好都合な世界と、心理への疑問を歌詞にしています。
そのあとの「怪獣の叫び」は、うつに悩んでも内側に怪獣のように大きくなるミュージシャンである山口一郎さんの心の叫びも表しています。
「病気を公開しながら、音楽を作っていく」――サカナクション・山口一郎、うつ病との闘いより引用
歌詞の意味⑤「チ。」と関わったアーテイスト
というのも、「チ。地球の運動について」の作者の魚豊さんは、「やりたいことを見つけて、命をかけれる人は幸せ」と答えています。
「チ。」に出てくる地動説に魅せられた登場人物は全員、命を懸けて生きています。
当然、サカナクションの山口一郎さんもその一人と言えます。
余談ですが、魚豊さんの別作品「ひゃくえむ」の主題歌である「らしさ」を作ったOfficial髭男dismさんは、原作に感動して逆に内側から言葉が飛び出してきたと言っています。
なので、魚豊さんの作品にふれたアーテイストは、プロモーションではなくてアーテイストとして本気を出したくなるんでしょうね。。

魂を揺さぶられて、作品をぶつけているのですね。
まとめ:怪獣の正体は「好奇心」
怪獣というのは、人間の好奇心です。
知りたい、作りたい、まだ見ぬ景色を見てみたいという知識欲や創作欲です。
アニメ「チ。地球の運動について」では、地動説は一人の天才によって発見されたわけではなく、何人もの人が命を懸けて真理の発見に命を懸けていく話です。
作者の魚豊さんも、はたから見れば「なぜそんなことに命をかけてるんだろうという生き方をしている人以外描かない」と言っていました。
こういうところが音楽を作るということに、命をかけている山口一郎さんの心を動かしたのは、間違いないでしょう。
怪獣とは、まさにサカナクションの山口さんの心の中にも潜んでいるんですね。
山口一郎さんは、うつ病のため今までの「寝食を忘れて没頭して曲を作る」スタイルから、規則正しい健康的な時間の中で、作曲活動をすることを決意しました。
心の中の怪獣を飼い慣らして、新しい自分を作るためです。
インタビューでは「怪獣には、モンスターの“怪獣”と、飼い慣らす意味の“懐柔”の2つの意味を込めています」と語っています。(ジョイサウンド音楽ニュースより引用)
あと、作者が「魚豊」で曲が「サカナクション」って、どんだけ魚に縁がある作品なんでしょうね。
魚豊さんのいう「おもしろい」は、世の中のほとんどの人が、どうでもいいと思っていることを変に一生懸命になることが「面白いの正体」なんだそうです。
例えば、魚豊さんは昔からギャグ漫画を描いていて、「引っ越してきたけど、お隣さんにどうやって挨拶をしようか」というのを真剣に悩むというコメディだったのです。
でも、魚豊さん的には、お隣さんへの挨拶に悩む人も、地動説に悩む人も、怪獣という音楽を作る人も、すべて「おもしろい」のです。
おもしろいの奥行きがとにかく広いことに、サカナクションの山口さんも感化されたんでしょうね。
サカナクションの「新宝島」も、そういう奥ゆかしさがありますよね。

ちょっとフザケてるのに、すごく真面目であるということろがね。
まとめると、「チ。地球の運動について」に関わっている人と、「チ。地球の運動について」をおもしろいと感じた人は、全員感情豊かで才能のある人なのです。
そう、あなたも天才なのです。

